安全保障関連法案が参院特別委員会で、自民、公明両党などの賛成多数で可決された。
鴻池祥肇委員長の不信任動議を否決した直後の法案採決では、与野党議員が委員長席に殺到し、混乱した。与党は18日までに、法案を参院本会議で可決、成立させる方針である。
これに対し、野党側は、中谷防衛相の問責決議案などを参院に提出した。衆院への内閣不信任決議案の提出も含め、法案成立に抵抗し続ける構えだ。
看過できないのは、民主党が主導して、国会内で連日、度を越した審議妨害・引き延ばし戦術を展開していることである。
委員会室前の通路で、多数の女性議員らを「盾」にして、委員長や委員の入室を邪魔する。委員長らの体を激しく押さえつけたり、マイクを奪ったりする。
どんな理由を挙げても、こうした物理的な抵抗や暴力的な行為を正当化することは許されまい。
言うまでもなく、国会は審議・言論の場である。国会議員には、一定のルールに基づく、品格と節度のある行動が求められる。
民主党議員らの言動は、国会外のデモとも連動し、法案成立をあらゆる手段で阻止する姿勢をアピールするための政治的パフォーマンスだと言うほかない。
安保法案は、日米同盟を強化し、抑止力を高めて、切れ目のない事態対処を可能にするものだ。できるだけ早期に成立させる必要がある。審議が尽くされた法案を粛々と採決するのは、民主主義の基本原則に合致している。
特別委の採決では、与党に加え、元気、次世代、改革の野党3党も賛成した。この意義は大きい。
3党が賛成したのは、自民、公明両党との協議で、自衛隊の海外派遣に対する国会の関与を強化することで合意したためだ。
中東での機雷掃海など、日本攻撃が差し迫っていない存立危機事態時の防衛出動は、例外なく国会の事前承認を求める。重要影響事態でも、国民の生死に関わる場合を除き、事前承認を求める。これらが5党の合意の柱である。
3党は、法案修正を求めたが、付帯決議や閣議決定で合意を担保することで歩み寄った。与党も、より緊急な事例を除き、3党の主張する事前承認を受け入れた。
双方が協議を重ね、現実的な妥協を図ったことは評価できる。安全保障に関わる法案は、より多くの政党の賛成で成立させることが望ましい。成立した法律の安定的な運用を可能にするからだ。