宗像・沖ノ島遺産群を世界文化遺産候補に選定 ユネスコに推薦へ

文化審議会の特別委員会は28日、平成29(2017)年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産の登録を目指す候補として、「宗(むな)像 (かた)・沖ノ島と関連遺産群」(福岡県)を選んだ。今後、閣議了解を経た上で、来年2月1日までに正式な推薦書をユネスコへ提出する。登録の可否は29 年夏ごろに開催される世界遺産委員会で決まる。

同遺産群は、玄界灘にある沖ノ島や、同島から南東に49キロ離れた大島に鎮座する宗像大社中津宮など5つの遺産で構成。大陸との海上交流が盛んとなった 4~9世紀にかけ、航海の安全を祈る大規模な祭祀(さいし)が行われた。沖ノ島には、考古学的な遺跡がほぼ手つかずの状態で残されている。

福岡県と同県宗像市、同県福津市が共同提案し、21年に世界遺産暫定リストに記載。ユネスコへの推薦は年1件に限られており、リスト入りしている「北海 道・北東北を中心とした縄文遺跡群」(北海道、青森、岩手、秋田)▽「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」(新潟)▽「百舌鳥(もず)・古(ふる)市(い ち)古墳群」(大阪)-と競合した。

特別委終了後、記者会見した東大教授の西村幸夫部会長によると、それぞれの自治体が文化庁に提出した推薦書原案の完成度などを比較した際、世界文化遺産 の登録をめぐる地域性や時代性を超えた文化財としての普遍的価値や、将来的な保全体制の観点から、「宗像・沖ノ島」が最も高い評価を得たという。

来年夏の世界遺産委では「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎、熊本)の登録が審査される。

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