定年直前なのに貯蓄ゼロ、退職金もゼロ!「月収43万円・59歳独身サラリーマン」の絶望…老後、生きていくのは無理ですか?

老後に備えた資産形成は、いまや日本人の必須事項ですが、誰もが順調に進められるわけではありません。たとえば、定年前「貯蓄もないし、退職金もないし……」と嘆く、独身のサラリーマン。このような状態で、老後の生活が始まってしまったら……みていきましょう。

老後が不安です…定年を控えるおひとり様サラリーマンの恐怖

生涯未婚率(50歳時未婚率)は男性で28.3%といわれているなか、定年を前にした独身のサラリーマンは、老後をどのように見据えているのでしょうか?

金融広報中央委員会『令和4年 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]』によると、「老後のひと月当たり最低予想生活費」は、全国平均33万円。定年も視野に入ってきた50代は31万円とみています。それに対し「年金支給時に最低準備しておく金融資産残高」は全国平均1,787万円、50代は2,065万円としています。

一方、老後の生活については「心配である(「多少心配である」と「非常に心配である」の合計)」は79.2%。50代においては84.4%が「心配」と回答しています。

また心配の理由(複数回答)をみていくと、定年を前にした50代は「預貯金や、将来の年金などの備えが不十分なんじゃないか……」という意識が強いようです。

【50代「老後不安の理由」】

1位:十分な金融資産がないから…72.5%

2位:年金や保険が十分ではないから…54.7%

3位:現在の生活にゆとりがなく、老後に備えて準備(貯蓄など)していないから…36.9%

4位:生活の見通しが立たないほど物価が上昇することがあり得ると考えられるから…27.8%

5位:退職一時金が十分ではないから…21.0%

同調査によると、50代の「金融資産=老後の備えがない」という人が39.6%と4割。60代では28.5%、70代では28.3%。老後への備えが不十分なまま60代に突入し、不安定な生活を送っている人たちが3割近くになると考えられます。

一方、「老後の備えをした=金融資産を保有している」という人たちの金融資産保有額は平均1,775万円。一方で中央値は610万円。そして年金生活に突入した人も多いだろう60代では平均1,960万円、中央値は950万円、70代では平均2,008万円、中央値が1,000万円。

老後に対して危機感の強い独身の50代。老後に備えとして、足りているか足りていないか別として、「資産1,000万円」あたりが現実的といったところでしょうか。

老後に不安を抱える「貯蓄なし、退職金なし」のおひとり様…老後は大丈夫?

ーー老後の備えはまったくしてない、でも退職金があるから大丈夫

そのように計画している人もいるでしょう。厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、サラリーマン(正社員)の平均給与は月収で38.9万円、年収で579.8万円。定年を控えた59歳(50代後半)では、月収43.1万円、年収で701.6万円。会社員人生のなかで、給与は最高値に達しています。

定年退職金は平均月収(基本給)の40ヵ月分が平均値とされています。勤続年数40年というサラリーマンで平均的な給与を手にしていると仮定すると1,700万円程度の退職金がもらえる計算。おひとり様の老後の備えとしては十分な退職金といえるでしょう。

しかし実際に退職金がいくらもらえるかは、会社によって規定が異なるうえ、調査によってまちまちですが、10%前後の会社は退職金制度そのものがない、といわれています。

ーー定年直前なのに貯蓄はないし、退職金もありません……老後、生きていくのは無理ですか?

そんな絶望に打ちひしがれている、おひとり様のサラリーマン。このような状況で60歳で定年を迎えて仕事を辞めるのは現実的ではないので、65歳までは嘱託社員として働いた場合を考えてみましょう。20歳から65歳まで、サラリーマンの平均給与をずっと手にすると仮定します。

単純計算ですが、65歳から手にする厚生年金は月10.8万円ほど、国民年金と合わせると月17.4.万円を手にすることになります。手取りで月15万~16万円ほど手にすると考えられます。

一方、総務省『家計調査 家計収支編』(2022年平均)によると、65歳の単身高齢者の1ヵ月の支出は14万9,208円。40年間、平均的な給与を手にしてきたサラリーマンであれば、年金だけで収支はトントン。生活できなくもないといったところです。

ただあくまでも40年間、サラリーマン(正社員)として平均的な給与を手にしてきた、という前提のもしもの話。実際にそれだけの年金を手にできるかは不透明ですし、突発的に病気になったり、冠婚葬祭があったりなど、突発的な出費には対応できないという不安はつきまといます。

また単身者で賃貸の場合、住まいの問題も。高齢者、特に単身者は孤独死リスクが高いと「家を貸せません」というケースも珍しくなく、おひとり様の高齢者はお金だけじゃなく、住まいの心配もしなければなりません。

もし定年前で貯金もなく、退職金もない……と不安を抱えているなら、定年後も働くことは必須。そのなかで少しでも老後に向けて貯蓄をしていくしか、老後の不安から解放される術はありません。

タイトルとURLをコピーしました