年間1兆円を超す宝くじの売り上げのうち360億円余りが、総務省所管の日本宝くじ協会や全国市町村振興協会など少なくとも125の公益法人に、複数年にわたって助成金などの名目で流れていることが、総務省の資料で分かった。125法人への天下りは常勤役員だけで133人(08年12月時点)に上り、天下りが5代以上続く法人も17ある。地方の財源確保が目的の売り上げが、天下りの人件費など公益法人の運営に転用されている構図が浮かんだ。
◇「隠れ補助金」の疑い
行政刷新会議は「総務省の隠れ補助金」として使われている例があるとみており、20日からの事業仕分けでも取り上げる方針だ。
総務省の資料によると、08年度の宝くじの売り上げは1兆419億円。分配比率は当せん金付証票法などで定められ、公益法人には3ルートで流れる。08年度の場合、経費から「委託宣伝費」として▽日本宝くじ協会に183億円▽自治総合センターに98億円--を支出。都道府県に渡した収益金からも、全国市町村振興協会など4法人が「地方行政に資する目的」などの名目で82億円を吸い上げた。これら6法人のうち3法人から、再委託や再交付の形で122法人以上に流れていた。各ルートの窓口となる3法人の理事長は、元自治省の事務次官や元消防庁長官が務める。
日本宝くじ協会から「宣伝」を再委託された公益法人が実施した業務は、本来の趣旨との関係性が不透明なものが多い。
08年度に5990万円を受けた地方公務員等ライフプラン協会は地方公務員の生活設計をアドバイスする機関誌を発行。2300万円を受けた日本地下鉄協会は、沿線ガイドや広報誌「SUBWAY」を作成した。630万円の日本キャンプ協会は大型テント4種、315万円の日本カヌー連盟はカヌーポロ艇を購入したという。
こうした機関誌やテントなどには「宝くじの売り上げから助成を受けた」などと表示され、宝くじ協会は「当せん金付証票法で『住民理解を深める』ための事業ならば宣伝として認められる」と説明している。【小山由宇】