実は通勤圏、緑も多い「宇都宮都民」のススメ

「宇都宮都民」になりませんか-。「千葉都」「埼玉都民」など近県に住む都内通勤者といえば、地元への関心が薄いなど、とかくネガティブなイメージがつきまとう。そこへ、宇都宮市が名乗りを上げた。通勤圏と思われない同市だが、「東京へ新幹線なら50分」「自然豊かで観光地も近い」と、都内からの移住を呼び掛ける。「あえて宇都宮を居住地として選んだというポジティブなイメージを作る」として「宇都宮都民」のブランド化に意気込む。
 「住めば愉快だ宇都宮」。同市はそんなメッセージを掲げ、「選ばれる都市」になるための取り組みを続けてきた。しかし、「不便」「沈滞」などのイメージが根強く、「住みたいまち」に変身できていないのが実情だ。
 この11月には栃木県の人口が13年7カ月ぶりに200万人を割り込んだ。危機感をもった同市は、首都圏からの定住者誘致を進めようと『宇都宮愉快な暮らし図鑑』を発行。子育て中で新居購入を考える20、30代の夫婦や、第二の人生を模索する50、60代をターゲットに据えてPRする。
 暮らし図鑑では、(1)災害が少なく、自然が豊か(2)日光や那須など県内観光地へのアクセスの良さ(3)田臥(たぶせ)勇太が所属する「リンク栃木ブレックス」など3つのプロスポーツチームが存在する-など市の魅力を紹介している。
 最大の売りは東京への利便性だ。宇都宮-東京の移動は新幹線で約50分、在来線でも快速で約90分。十分な“通勤圏”といえ、新幹線なら通勤ラッシュとも無縁だと強調する。
 宇都宮駅から徒歩圏内に高層マンションの建設や計画が進み、不動産価格は首都圏に比べて格段に安い。新築マンション(3LDK~4LDK)だと、2千万円後半から3千万円前半が相場という。
 「宇都宮が東京から遠いという先入観を覆したい」と市の担当者。「宇都宮都民」は、埼玉都民や千葉都民と一線を画すブランドになりうるか。

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