県産生食用カキの出荷が12日、始まった。今季は海況変化などの影響で例年より成育が遅れ、県が指針とする解禁日から約2週間待っての初出荷となった。
石巻市渡波にある県漁協石巻湾支所の処理場には、前日までに万石浦や長浜沖で水揚げし殺菌処理したカキ1.6トンが搬入された。生産者ら約150人が実入りの状態を確かめながら、殻むき作業に当たった。
石巻市での入札で、10キロ当たりの平均価格は昨年より3246円高い3万9307円。最高値は4万6030円だった。新型コロナウイルス感染拡大による需要減も懸念されたが「平年より高め」(県漁協)の価格に生産者は安堵(あんど)していた。
県漁協かき部会の須田政吉部会長(67)は「昨季はへい死で苦戦したが今季は実入りも良い。冬に向けてうま味が増すので期待してほしい」と話した。
初日は県内のカキ処理場から計約10トンが出荷された。来年5月までに昨季より約370トン多い1700トンの生産を見込む。