実質単年度赤字30億円 仙台市・23年度 市税最高でも物価高響く

仙台市は、2023年度の普通会計決算の速報値と財政指標を公表した。実質単年度収支は30億円のマイナスで、政令市移行後に最大となった22年度の110億円から縮小したものの、2年連続の赤字となった。市税が2年連続で過去最高を記録したが、物価高や扶助費を中心とする義務的経費の増加が収支を圧迫した。

 歳入総額は22年度比0・4%増の5927億円、歳出総額は0・2%増の5839億円で、ともに過去4番目の規模。翌年度に繰り越す事業費を差し引いた実質収支は40億6900万円の黒字だった。

 歳入のうち、市税は2・0%増の2293億円で、固定資産税や個人住民税が伸びた。地方交付税は19・1%増の317億円。歳入に占める自主財源比率は51・0%で1・0ポイント改善した。

 歳出は人件費、扶助費、公債費で構成する義務的経費が1・9%増の3206億円。歳出全体に占める割合は54・9%で0・9ポイント上昇した。低所得世帯への給付金などで扶助費が増え、過去2番目の規模。

 投資的経費は5・7%増の648億円。仙台銀行ホールイズミティ21(泉区)の大規模修繕をはじめとする施設整備費が増加した。

 23年度末の市債残高は22年度末比0・4%減の7599億円。うち臨時財政対策債などを除く通常債は1・5%増の4840億円で2年連続の増加となった。

 基金残高は3・5%減の1268億円で、東日本大震災後の最低を更新した。うち財政調整基金は6・2%減の256億円。

 財政運営の硬直度を示す経常収支比率は97・0%。市税収入の増加や定年延長に伴う退職手当の減少で1・7ポイント改善した。財政健全化法で規定する実質赤字比率や実質公債費比率など4指標は、全て基準を下回った。

 市財政課の石川桂吾課長は「歳入は伸びているが、扶助費など義務的経費も右肩上がりが続く。公共施設改修を中心とした建設事業がピークを迎え、歳入増と歳出減に取り組みながら持続可能な財政を確保していく」と話した。

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