高知県の室戸岬沖の定置網で、7月と8月に多くの深海魚が捕獲された。専門家によると夏に深海魚が見つかるのは珍しく、地元漁師らも異変に首をかしげている。
室戸市に拠点があるNPO法人によると、捕獲された深海魚は、赤い背びれと鮮やかな銀色の長い体が特徴のリュウグウノツカイや、目が大きく、タチウオに似た形のサケガシラなど。リュウグウノツカイの漂着は地震の前触れとの言い伝えも。東海沖から三重、和歌山、高知にかけての太平洋側は東南海・南海地震が遠からず起こることもあり、地元漁師らは避難場所を確認しているという。
いずれも室戸市の地元漁師が深さ約70メートル付近に仕掛けた定置網で、4回の漁で計81匹がかかった。NPO法人が調査し、カウントしている。通常は年に1回ぐらい、数匹かかる程度という。
神奈川県立生命の星・地球博物館の瀬能宏専門学芸員(魚類分類学)は「風の向きや強さ、潮の流れが変化し、深層から海流が湧き上がったためでは」と推測する。しかし、夏場は太陽光で温められた軽い表層の海水と、冷たく重い深層の海水との間で循環が起きにくく、深海魚は浅い所に来ないのが普通という。