宮城←→山形県境越え大学入学、10年で108人増 高速バス増便、地元志向強まる

宮城と山形で両県境を越えて四年制大学に入学する若者が増えている。2017年の進学者は両県合わせて1449人で、08年から108人増加した。背景には、高速バスの増便で学生の通学圏が広がったことなどがあるようだ。
宮城と山形の県境越え入学者の推移はグラフの通り。宮城から山形の大学への進学者は、08年の474人が17年には594人に増加。山形から宮城へは17年が855人で、08年(867人)とほぼ同じだった。
少子化などから17年までの10年間で大学進学者は宮城が約400人、山形が約800人減った。しかし県境越え進学者は堅調で、全体に占める割合は増している。
高速バスの利便性の向上が大きな要因とみられる。現在、県都を結ぶ仙台-山形線は平日80往復。通学ピークの時間帯は9分に1本の割合で運行し、両市の主要バス停では学生の列ができる。
東北芸工大では仙台-上山線のバス停を開設した翌年の09年、宮城からの入学者が30人以上増えた。バスは平日8往復し、18年は164人が宮城から入学した。
同大企画広報課の担当者は「東日本大震災の翌年にも宮城からの入学者が増えた。東北に残って復興の力になりたいと考えたり、自宅通学できる大学を選んだりする傾向が強まったのではないか」と推測する。
東北福祉大は06年、看護師や養護教員の人材育成を目的に看護学科と子ども教育学科を新設。山形からの入学者が約50人増えて142人になった。
仙山圏の通学圏化について河合塾東北本部の渡辺貴吉東北教務部長は「学費と生活費の高い首都圏の私大よりも、自宅から通学できる大学を選ぶトレンドになっている。学科新設や就職支援など大学の努力も影響している」と分析する。

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