宮城、山形両県またぐ国道347号 通年化へ改良促進

宮城、山形両県は、県境をまたいで東西に走る国道347号の通年通行化に向け事業を本格化させる。現在は道幅が狭く冬季閉鎖を余儀なくされている。東日本大震災で太平洋側と日本海側を結ぶ東西の防災ネットワークが見直され、年間を通じたルート確保が必要と判断した。主に宮城側の道路改良を急ピッチで進め、早ければ2016年度の通年通行化を目指す。
 347号は、加美町と尾花沢市の境にある鍋越峠付近を挟み17.7キロの区間が、毎年おおむね11月下旬から翌年の4月下旬まで閉鎖される。山形側(6.4キロ)の整備はほぼ完了しているが、宮城側(11.3キロ)には拡幅などが必要な未改良区間(2.5キロ)があり、冬場の通行は危険とされている。
 宮城県は3月にまとめた県社会資本再生・復興計画緊急アクションプラン(11~15年度)に「防災道路ネットワーク整備プロジェクト」(総事業費約2526億円)を掲げ、347号の整備促進を盛り込んだ。
 宮城県議会2月定例会では、村井嘉浩宮城県知事が「三陸道の整備効果を高めるためにも、広域的な連携を支援する防災道路ネットワークの整備は急務」とした上で、「347号は今後5年をめどに通年通行を図っていく」と述べた。
 山形側は、20年以上前に道路改良が終わっているが、県は冬季通行を万全にするため、本年度の当初予算に雪崩対策のための道路調査費300万円を初めて盛り込んだ。7日には、吉村美栄子知事が初めて現地を視察し、加美町の猪股洋文町長、尾花沢市の加藤国洋市長らと県境付近を見て回る。
 山形側では震災直後、支援物資を積んで日本海側から被災地を目指した車両の多くが、冬季閉鎖中と知らずに347号を進み、途中で引き返したという。陸上自衛隊神町駐屯地(東根市)から宮城側へ災害支援に赴く際の貴重なルートであるほか、観光や雇用など産業面でも重要な道路で、通年通行化は地元が長年要望していた。
 昨年7月には、加美町と尾花沢市など沿線五つの自治体と議会でつくる347号の改良促進期成同盟会が、村井知事に対し「支援ルートとして防災上も重要な路線だ」と早期実現を働き掛けた。

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