宮城で初、政令市では最後 仙台市のパートナーシップ制度「遅れ挽回を」専門家が注文

仙台市がLGBTなど性的少数者のカップルを婚姻相当の関係と認めるパートナーシップ制度を創設する方針を示した19日、当事者は歓迎の声を上げた。宮城県内では初めてだが、既に全国300を超える自治体が取り入れ、20政令市では最も遅い創設表明。専門家は「遅れを挽回するよう、充実した制度にするべきだ」と注文を付ける。

 「ようやく導入が明言された。ほっとしている」

 多様な性の在り方を考える市民団体「にじいろCANVAS」(仙台市)の小浜耕治共同代表(60)=太白区=は市議会のインターネット中継を通じて質疑の様子を見守った。郡和子市長の答弁を聞き、安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 2015年に全国初のパートナーシップ制度が創設されて以降、仙台市も導入するよう訴え続けてきた。「性的少数者の問題は男女共同参画の枠にとどまらない。市のあらゆる部局が自分たちに関わることと意識してほしい」と強調する。

 認定NPO法人虹色ダイバーシティ(大阪市)などの調査によると、今年6月28日時点でパートナーシップ制度は全国328の自治体が創設。人口カバー率は71%に達する。

 政令市では札幌市が最も早く17年6月に制度を始めた。互いをパートナーと宣誓するカードを交付し、子どもを保育所に送迎する際などに親子関係を示せるようにした。

 市の担当者は「市の導入をきっかけに理解が社会全体に広がり、民間企業のサービス拡大にもつながっている」と意義を説明する。

 18年4月に制度を設けた福岡市は福岡県との連携態勢も整え、同性カップルが市営住宅のほか、県営住宅に入居することもできるようにしている。

 仙台市の制度の詳細な検討は今後、市男女共同参画推進審議会に委ねられる。審議会前会長で「男女共同参画せんだいプラン」(21~25年度)に制度検討の明記を求めた高浦康有(やすなり)東北大大学院准教授(企業倫理)は「当事者のほか、支援者や若者の声を反映できれば、誰もが住みやすい街になる。仙台ならではの制度にしてほしい」と訴える。

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