宮城で消毒作業の需要急増 学校や事業所の予防も順番待ち

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、宮城県などで感染者が滞在した場所を消毒する業者への需要が高まっている。該当施設の除菌だけでなく、新学期を迎える学校や、従業員の感染に備える事業所などからの問い合わせや消毒作業の依頼が相次いでいる。

 勤務する外国語指導助手(ALT)の感染が確認された仙台高(仙台市青葉区)で8日、防護服に身を包んだ作業員6人が校舎を消毒した。人が触れたドアノブや机、窓などを、アルコール消毒液を染み込ませた布や紙で念入りに拭き、次亜塩素酸ナトリウムを床に吹き付けたという。
 宮城県内の害虫防除業者20社でつくる県ペストコントロール協会(多賀城市)が仙台市教委から作業を受託。加盟する複数の企業の従業員が上部団体の日本ペストコントロール協会(東京)が作ったマニュアルを活用し、作業に当たった。
 同協会によると、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で集団感染が深刻な状況になった2月中旬から、主に企業の照会が増えた。「従業員が感染した場合、事業所の消毒作業をしてほしい」という内容が多く、協会の電話は4月に入り、鳴りっ放しだという。
 作業依頼も急増し、同協会の大泉道治事務局長は「作業員が足りず、待ってもらっているお客さんもいる」と言う。
 協会に加盟していない泉区の清掃業者は、宮城県内の専門学校から依頼を受け、新学期が始まる直前に校舎を消毒する予定だ。新型コロナ関連の業務が増えることを見込み、次亜塩素酸水溶液を確保したり、防護服などの装備を増やしたりしている。
 業界関係者によると、新型コロナの消毒手法は確立されていないという。インターネットなどで「コロナ対策」をアピールする業者も増えており、確かな技術を持つ業者の見極めも課題になりそうだ。
 ダイヤモンド・プリンセスの消毒作業に携わった清掃会社リスクベネフィット(静岡県富士宮市)の惟村(これむら)徹代表は「業者を見分けるのは難しい。ウイルスが付着しやすい場所など、防疫の基本的な知識があるかどうかが目安の一つになる」と話す。

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