文部科学省が13日に公表した2020年度児童生徒問題行動・不登校調査で、宮城は不登校の中学生が減り、1000人当たりの不登校児童生徒数は5年ぶりに全国ワーストを脱した。暴力行為、いじめの件数も減少。県教委は問題行動と不登校の未然防止と早期発見に引き続き力を入れる方針だ。
不登校、中学が9%マイナス
1000人当たりの不登校児童生徒数は前年度比1・4人減の22・6人。5年ぶりに全国ワーストを脱したが、全国平均(20・5人)を超え、全国ワースト8位。
実人数で見ると、小学生が1・6%増の1204人。中学生は9・5%減の2717人で、9年ぶりに減少した。
県教委は、学校内に専任教員と支援員を配置する「学び支援教室」、学校外には「みやぎ子どもの心のケアハウス」を設置し、対策を講じる。担当者は「不登校の未然防止に向けた取り組み、学校内外での支援の充実が一定の効果となって表れた」と説明する。
仙台市の1000人当たりの不登校児童生徒数は前年度比2・7人減の21・6人で、20政令市平均(22・0人)を下回った。
新型コロナウイルスの感染回避を理由に、県内で30日以上登校しなかった小学生は396人、中学生は296人だった。
いじめ認知、3年連続の減少
小中高校と特別支援学校のいじめ認知件数は1万2902件。前年度を23・4%下回り、3年連続で減少した。1000人当たりの認知件数は15・9件減の54・2件で、全国平均(39・7件)を上回る。
件数減少について、県教委義務教育課は「新型コロナウイルス下でグループ活動や部活動に制限がかかり、子ども同士の接触が少なくなったのが要因の一つではないか」と分析する。
校種別の認知件数は、小学校1万949件(前年度比21・4%減)、中学校1774件(31・2%減)、高校153件(47・4%減)、特別支援学校26件(45・8%減)。いずれも前年度を大きく下回った。
いじめの解消率は80・6%。前年度より4・2ポイント減ったが、全国平均(77・4%)を3・2ポイント上回った。
県教委は、各教育事務所や義務教育課に配置される「スクールロイヤー」の活用で、児童生徒が安心して生活できる環境整備を図り、いじめの予防に取り組む考え。「24時間子供SOSダイヤル」やSNS相談など、相談機関の一層の周知にも努める。
仙台市の1000人当たりのいじめ認知件数は139・4件。20政令市平均(46・7件)を大きく超え、政令市で2番目に多かった。
暴力行為、10%減でもなお深刻
小中高校の暴力行為の発生件数は計2001件で、前年度に比べて10・1%減った。1000人当たりでは8・5件。同比0・9件の減少だが、全国平均(5・1件)を大きく上回る。
形態別では、生徒間の暴力が前年度より小学校(823件)で10・2%、中学校(408件)で29・7%、高校(37件)で44・8%それぞれ減った。一方、教師への暴力は小学校(291件)で21・3%増えたほか、中学校(87件)は前年度の約2倍に達した。高校(5件)は前年度と同じ。
県教委は「新型コロナウイルスの感染防止で、子どもたちの接触機会が減ったが、感染防止の指導で教師との関わりが多くなったからではないか」と推測する。
仙台市の1000人当たり暴力行為の発生件数は15・5件。20政令市平均(7・5件)の約2倍で、ワースト2位に当たる。