宮城の未利用県有地、売却加速 市町が災害公営住宅に活用

利用されなくなった宮城県有地の売却が進んでいる。東日本大震災の被災世帯向けに整備される災害公営住宅の用地として、建築主体の市町からの引き合いが増えているためだ。2012年度の売却総額は計12億8183万円と過去5年間で最多。本年度実績も11年度を上回っている。県は「未利用県有地が被災者の住宅再建を後押しする結果になっている」と説明する。
 県によると、12年度は前年度より8件多い24件の売却が成立。総額は11年度の約3.7倍となった。総額のうち73%(9億3532万円)を、災害公営住宅用地として仙台市や多賀城市、石巻市に供給した分が占める。
 仙台市は、青葉区通町1丁目の県通町分庁舎跡地(6億3418万円)など2物件を購入。通町では10月、142戸分の集合住宅型を着工した。市復興公営住宅室の担当者は「市中心部は特に物件がなく、県有地は渡りに船だった」と言う。
 多賀城市は宮城職業能力開発促進センター宿舎跡地(4180万円)を取得。石巻市も泉町待機宿舎跡地(3610万円)を買い受けた。
 同様の傾向は本年度も続き、亘理町が亘理高の実習田(8280万円)を購入した。被災した河川の改修や農業用排水機場整備のため、県農業高の移転跡地の一部(2364万円)を国が取得するなど復興関連需要もあり、10月までの売却総額は5億4890万円に上る。
 県は、利用のめどが立たなくなった県有地については、市町村や国に取得意思の有無を確認している。取得する行政機関がなければ一般競争入札で売却する。
 現在、売却が決まっているのは24物件。うち塩釜市の塩釜署独身寮跡地(1580万円)など5件は1日から入札申し込みを受け付けている。29日まで。
 県財産利用推進室の担当者は「財源確保のため未利用財産を活用する県有地の売却だが、結果として震災復興の側面支援につながっている」と話している。

タイトルとURLをコピーしました