宮城の高校でAIによる採点システムを7月から導入 教員の業務5時間削減

教員の負担を軽くしようと、宮城県教委は本年度、県内全ての県立高校にAI(人工知能)を活用した自動採点システムを導入する。マークシートだけではなく、簡単な手書きの回答にも対応できる。早ければ7月にも配備される見通し。

簡単な手書きにも対応

 教員が生徒の答案用紙をスキャンしてパソコンに取り込むと、自動で採点される仕組み。複雑な記述式問題は画面上で採点する必要があるが、各問題の回答率が即座に出され、生徒たちの習熟度もすぐに把握できる。

 県は全70校にシステムを取り入れる費用として、2024年度一般会計当初予算に4050万円を計上した。7、8月に全校に導入し、各教員は使い方などを研修した上で定期テストなどで活用する。来年3月には一部の高校入試にも使う予定。

 県教職員課によると、22年度に時間外勤務が月80時間を超えたことがある県立学校の教職員の割合は21・7%。前年度より3・1ポイント上昇し、多忙さの改善が進まない。担当するテストを1人で丸付けする業務は大きな負担となっている。

 文部科学省が2023年3月に出した「働き方改革事例集」の改訂版によると、自動採点システムの導入により、教職員1人当たりの勤務時間は、1回のテストにつき約5時間は削減されるという。

 県教委は27年度までに、1カ月80時間超の時間外勤務の教員をゼロにする目標を掲げ、積極的に情報通信技術(ICT)を活用する方針。県高校教育課の担当者は「業務の負担が減れば、教員が生徒一人一人と関わる時間が増える。結果的に学びの支援の充実につながるはずだ」と期待する。

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