宮城は52億円なのに岩手は18億円 全国旅行支援、予約停止続出のワケは予算規模にあった

11日に始まった政府の観光促進事業「全国旅行支援」で、新規予約の受け付けを停止する事業者が相次ぐ要因の一つに、実施主体の都道府県によって異なる予算規模や事業者への配分ペースがある。東北6県の予算規模は50億円台から10億円台まで開きがある。新型コロナウイルス禍で苦しむ関係業界の期待は大きく、各県は原資となる補助金の追加交付を国に求めている。

全国旅行支援が始まった11日、スーツケースを持った人たちが行き交ったJR仙台駅=仙台市青葉区中央

県民割の実施状況が影響 国に追加交付求める

 旅行商品などを4割引きにする全国旅行支援は国費で負担。従来の支援策「Go Toトラベル」「県民割」向けに都道府県に交付された補助金を使い、旅行会社や宿泊施設などに配る。新型コロナの感染状況などにより、県民割の実施状況が地域で異なるため補助金の残額に差があり、全国旅行支援の予算規模に格差が生じる一因になっている。

 岩手県は全国旅行支援の予算額が、事務費を除き18億円と6県で最も少ない。旅行会社やホテル・旅館に全額を一括で既に配分。県内では、配分額を使い切り、新規予約受け付けを停止する事業者が出ている。

 岩手の予算額が少ないのは、県民割事業を続けたため予算を消化し、事業が断続的に停止した他県より残額が少ないためだ。国から補助金15億円が追加で交付される見通しになっており、事業者への追加配分を急ぐ。

山形は前倒しで配布

 事業者への配分のペースや手法も県によって異なる。

 山形県は土産品店などで使えるクーポン券用を含め45億円を確保した。旅行会社と宿泊施設に10、11、12月と月ごとに配分する方式を採用。10月分を使い切った旅行会社に対し、11月分を前倒しで配っている。担当者は「各業者の予約状況を見極め、柔軟な対応をしていく」と理解を求める。

 秋田県は旅行会社向けに25億円、ホテル・旅館向けに10億円を用意した。旅行会社向けのうち5億円は追加配分用に予備費として残したが、支援策が決まる前に受け付けた「既存予約」の客に割引を適用し予算が底をついた会社もあり、十分な額とは言い切れない。

青森は既に7割配分

 青森県は用意した43億円の7割に当たる29億円を既に配分。福島県は「県民割の予算と重複し、全国旅行支援に限った予算額は公表できない」と説明する。

 6県で最多の52億円を確保した宮城県は旅行会社向けに30億円、ホテル・旅館向けに13億円を充てる。予約状況を見て各社に配り、予算を使い切りそうになれば追加する態勢を取る。

 担当者は「まだ配分を決めていない予備費が9億円ある。申し込みを締め切った事業者も受け入れを再開する場合がある。サイトなどをチェックしてほしい」と呼びかける。

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