宮城・かほく防災記者の夏期講習 石巻と気仙沼を訪ね被災と教訓を学ぶ

宮城県内の中学生対象の「かほく防災記者」(河北新報社主催)の夏期講習が7月29、30の両日、宮城県石巻市の河北新報社石巻総局などであり、県内の中学生4人が東日本大震災の被害と教訓、災害への備えを学んだ。三陸河北新報社と共催。

 初日は風水害について講習を受けた後、事前に調べた自宅周辺の災害リスクや避難先などを基に、家族の避難行動を時系列で決めておく予定表「タイムライン」を完成させた。家族に被災体験や家庭内の備えを取材し、書いた原稿も発表。見出しを自分で考えて、記事の割り付けも行い「マイ防災新聞」を制作した。

 非常食作りも体験。カセットコンロで沸かした湯でアルファ米を戻したほか、ノンオイルの無塩のツナ缶で戻した切り干し大根を塩昆布などで味付けし、試食した。

 2日目は、宮城県気仙沼市の市東日本大震災遺構・伝承館を訪問。伝承館で津波や津波火災の映像を視聴した後、語り部の案内で震災遺構の気仙沼向洋高旧校舎を巡り、3階に流入した車、4階の壊れた外壁などから、津波の高さと威力を想像した。

 中学生が書いた防災新聞の原稿は27日と9月3日の河北新報朝刊に掲載する。

地震が来たら高所に避難

 気仙沼市の震災遺構・伝承館で、流された車の映像や、校舎と体育館の間に挟まった家の写真などを見て、津波の怖さが印象に残った。地震が来たら、高い場所に逃げることが大切だと、みんなに話したい。そして、災害で悲しむ人が出ない世の中になってほしい。(女川町女川中1年 阿部寛大(かんた)さん 12歳)

家の災害対策考える

 夏期講習は避難所を確認し、自宅の災害対策を考えるきっかけになった。気仙沼市の震災遺構・伝承館を視察し、より詳しく震災を知ることができた。語り部は「お金で命は買えない」と言っていた。命を守るため、津波の危険があるときは、なるべく遠くへ逃げたい。(松島町松島中3年 飯嶋燦太(さんた)さん 14歳)

備えの大切さを痛感

 2日間の講習を受け、普通の生活を送っていた人たちに突然、災害が襲いかかったらどうなるだろう、と考えずにはいられなかった。いつ、どこで何が起こるか分からない中、備えておかないと、いざというときに行動できない。いかに備えが大切か、痛感した。(松島町松島中3年 鈴木成瑠(なる)さん 15歳)

語り部の訴えが印象的

 「とにかく逃げて」。気仙沼市の震災遺構・伝承館の語り部の言葉が一番、印象的だった。目と声で強く訴えかけ、津波の恐ろしさを教えてくれた。旧校舎の中は信じられない光景ばかりで、穏やかな海からは想像できなかった。大切な人を守れるよう、学んだことを伝えたい。(秀光中2年 高原来遙(こはる)さん 14歳)

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