宮城・やくらいゴルフ倶楽部問題 運営会社が転売覚書に「閉鎖」明記 町には「存続」と説明

 宮城県加美町のゴルフ場「やくらいゴルフ倶楽部(くらぶ)」の土地・建物が転売された問題で、ゴルフ場運営会社と外資系発電会社が交わした売買契約に関する覚書に、太陽光発電所の開発を前提に「ゴルフ場の閉鎖に関連する合意」が盛り込まれていたことが20日、分かった。運営会社は町に対し「ゴルフ場を存続する」と説明して土地などを買い戻した経緯があり、町側は「運営会社に二枚舌を使われた可能性がある」と疑念を深めている。

 6月21日朝に公開した記事の複数箇所に誤りがありました。訂正の上、更新しました。おわびします。

太陽光開発を前提

 河北新報が入手した資料によると、覚書が交わされたのは、2023年6月30日。ゴルフ場を運営するチームトレイン(加美町)と転売先のティーダ・パワー110合同会社(東京)、現地で太陽光発電事業を担うCS宮城加美町合同会社(同)の3者で結ばれた。ティーダ社とCS社はともに太陽光発電会社カナディアン・ソーラー(本社カナダ)の子会社という。

 覚書には「ゴルフ場の閉鎖に関連する合意事項」との条項があり、「(トレイン社は)23年7月中をめどに加美町長に対して、24年11月末までにゴルフ場を閉鎖、その後にCS宮城加美町合同会社が太陽光発電所の開発を行うことを説明し、町長に協力を要請する」と記載されている。

 「協力義務」の条項には、トレイン社が太陽光発電所の開発に伴う町側との協議や測量などに協力することが盛り込まれている。

 ゴルフ場の閉鎖完了を条件に、売買代金を4億円から4億1500万円に増額して支払うことも取り決めていた。

 町によると、トレイン社は土地を買い戻す前の21年3月20日に「ゴルフ場を運営するため、資金調達を考えると(担保として)土地建物は前提となる」という趣旨の「理由書」を町に提出。同年5月には「ゴルフ場を活用したやくらい地区の活性化と振興に取り組む」などの項目を含む協定書を町と締結した。

 21年11月24日にあった町議会全員協議会に出席したトレイン社社長は、コース以外の土地を太陽光発電に利用する可能性を認める一方、「ゴルフ場を売るとか、やめるとかは考えていない」と発言した。

 河北新報はトレイン社に土地の売買と覚書に関して質問状を送ったが、20日までに回答はなかった。

 石山敬貴町長は取材に対し「覚書にゴルフ場閉鎖の合意が盛り込まれている話が本当なら全くの約束違反。法的措置も視野に何らかの対応を検討しなくてはならない」と話した。

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