宮城・七ケ浜の特産活用「のりだれ」海外本格進出 町の合同会社が新工場で生産増へ 香港、マカオで手応え

宮城県七ケ浜町でカフェレストラン「SEA SAW(シーソー)」を営む合同会社fluir(フルイール)が、町特産の高級焼きのりで作った調味料「浜ののりだれ」の海外展開に本格的に乗り出す。6月に香港とマカオで現地の反応を探り、手応えを得た。販路拡大を見据え、敷地内に工場を新設する。

 のりだれは磯の風味が強く柔らかい一番摘みの焼きのりを粉砕し、オリーブオイルやだししょうゆと合わせた。シリーズはワインビネガーを加えた「のりドレ」、マヨネーズを足した「のりマヨ」の計3種類ある。

 代表の久保田靖朗さん(40)らは6月23~25日に香港のスーパーやデパートでのり商品などの市場調査に取り組み、ギフト商品を扱う会社や日本料理店の経営者、スーパーのバイヤーらと相次いで商談した。

 同26~29日はマカオの高級デパート「ニューヤオハン」の食品フロアで試食会を開催。ゆでたうどんにのりだれをかけて提供、3日間で計250本を売った。

 フルイールは今後、ニューヤオハンの催事でのりだれの売り込みを続けるほか、香港とマカオの飲食店で料理に取り入れてもらい、浸透を図る方針だ。

 のりだれは店の厨房(ちゅうぼう)で手作業で製造しているが、国内外での取引拡大を見据え、約1500万円を投じて新工場を設ける。年間の生産能力を現在の5倍となる3万個に引き上げる。9月中の稼働を目指す。

 香港やマカオではのりを食べる習慣があり、日本の食品がスーパーに並んでいるなど「日本ブランド」への信頼も高い。一方、香港政府は東京電力福島第1原発の処理水が海に放出されれば宮城を含む10都県の水産物輸入を禁止する方針を示すなど懸念材料もある。

 久保田さんは「国内だけでなく、海を越えておいしいと言ってもらえたことに感動した。多くの人にのりだれを食べてもらい、七ケ浜のノリを知ってもらうために力を尽くしたい」と意気込む。

 のりだれシリーズは1本680円(130ミリリットル)。取扱店は七ケ浜町や仙台、塩釜、多賀城各市が中心。東京や大阪、名古屋などへの販路開拓にも取り組んでいる。

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