福島第1原発事故を受け、宮城県は4日、丸森町筆甫、耕野両地区の子どもを対象に、甲状腺の超音波検査による健康調査を実施した。対象者の7割を超える子どもが検査を受けた。
調査の必要性を検討していた県の有識者会議は10月下旬に「健康に影響はない」と判断したが、県は住民の不安解消のため、放射線量が比較的高い筆甫、耕野両地区での実施を決めた。
原発事故後の転出入を含め、本年度現在で0歳から小学6年までの83人が対象。このうち61人が保護者と一緒に大河原町の県仙南保健所を訪れた。
検査は東北大の医師2人が担当し、甲状腺がある喉の付近に超音波装置を当てながら診断した。検査時間は1人10分程度で、問診や身体測定と合わせ約20分かかった。結果は年内に郵送で通知される。
全身の被ばく量を測定できるホールボディーカウンターについて、県は「国に装置を配備するよう要請中」として使用しなかった。子どもの場合、甲状腺に影響が表れるのは数年後との指摘もあるが、甲状腺検査を今後継続するかどうかは未定だ。
対象者の中でこの日受けられなかった子どもには、来年1月中旬に予備日を設ける。結果を踏まえて次回の有識者会議を開き、対象範囲や継続の必要性、今後のフォローの在り方などを協議する。
長女(2)が検査を受けた筆甫地区に住む母(27)は「血液や尿など全部調べてほしかった。今回だけで終わるなら安心できない」と話した。
子ども4人を連れて訪れた市民団体「子どもたちを放射能から守るみやぎネットワーク」の太田茂樹代表(42)は「不安を抱いているのは丸森町民だけではない」と、対象地域や年齢の拡大、調査の継続を訴えた。