東日本大震災で被災した亘理町荒浜地区の活性化事業が打ち切りとなった問題で、町は3日の町議会9月定例会一般質問で、事業実施主体の備蓄食品製造ワンテーブル(多賀城市)に無償貸与している町有地4780平方メートルについて、契約期限となる2025年度末以降は更新を拒絶すると同社に通知したことを明らかにした。
一般質問で議員は「23年3月に事業は破綻した。町有地の貸与契約を破棄してはどうか」と提案。山田周伸町長は26年度以降、更新を拒絶すると7月に伝えたとした上で「期間満了まで、町有地が適切に管理されているかしっかりとチェックする」と答えた。
ワンテーブルの不祥事が明らかになり、町は23年3月、活性化事業の協定を解約。一方、同社が借りた荒浜地区の町有地に設けたコンテナハウスなどで活動を希望する町地域おこし協力隊員がいたため、21年10月~26年3月に結ばれた無償貸与契約は継続している。
町によると、民間事業者への町有地貸し付けは条例や要綱に基づく。にぎわい創出など要件を満たせば契約期間延長も可能だが、同社が借りた町有地で活動する協力隊員2人が25年3月で任期を終える点を踏まえ、町は当初結んだ契約期間以降は延長しないことを決めた。
ワンテーブルは21~30年度の計画で活性化事業を提案。借りた町有地内で22年7~同10月にコンテナハウスを設置し、協力隊員が働くカフェや焼き肉店など計4店舗を順次開業した。同社と町の協定解約後は、隊員が同社から店舗を借りて週末などに営業していた。
隊員が別の事業を始めるため、各飲食店を24年2月までに全て閉店して以降、コンテナハウスはほぼ閉鎖状態となっている。地元商工関係者から「ワンテーブルは町有地を適切に扱っていないのではないか」との声が上がっていた。