備蓄食品製造のワンテーブル(宮城県多賀城市)が担った福島県国見町や宮城県亘理町の官民連携事業が中止となった問題で、亘理町が同社を5月末から2カ月の入札指名停止処分としていたことが分かった。国見町は「指名停止とする規定がない」などとして処分していない。
亘理町のワンテーブルに対する指名停止は5月31日~7月30日。ワンテーブルは同町荒浜地区で2021年に始まった地域活性化事業「ワタリ・トリプルC・プロジェクト」の事業主体を担ったが、当初計画した個別事業の多くが暗礁に乗り上げ、今年3月10日に町は同社との協定を解約した。
ワンテーブルはプロジェクトの一環で高規格救急車1台を研究開発して納車する事業や、防災備蓄ゼリー60万食分と新型コロナウイルス対策用の低濃度オゾン発生装置を町内に配備する事業を実施した。
町によると、同社が提出した両事業の業務報告書は、肝心の防災力強化に関する具体策が十分に示されていなかった。町は報告書の内容を補完するよう同社に求めたが、期限内に応じなかったため、町指名停止要領に基づく「不正または不誠実な行為」と判断した。
国見町の場合、建設工事に関しては入札資格業者の名簿があるが、コンサルタントや物品調達には資格名簿がなく、全て任意で契約している。
町は7日の町議会6月定例会一般質問で議員からワンテーブルとの今後の関係を問われ、「契約などは毛頭考えていない」と強調。一方で同社に対する指名停止については「名簿に載っていないからできない」などと説明した。