SBIホールディングスと台湾の半導体受託生産大手、力晶積成電子製造(PSMC)の提携解消により、宮城県大衡村への半導体工場建設計画が白紙となった問題で、PSMC側が宮城県庁を訪問し、撤退理由を直接説明していたことが8日、分かった。台湾の法令に抵触することを理由に挙げた。
同日あった県議会9月定例会の経済商工観光委員会で報告された。県によると台湾のPSMC本社の役員数人が7日に県庁を訪問。黄崇仁会長名の説明文書を持参し、村井嘉浩知事と対談した。
県によると、PSMC側が日本の補助金交付の要件を満たすために長期的な操業を保証すると、台湾の証券取引法に違反してしまうと釈明した。政府は補助金交付の条件として、10年以上の生産や継続投資を求めていた。
会談は約1時間に及び、PSMCは台湾での操業に注力しつつ、今後インドに工場を建設する方針も明らかにした。
大衡村の工場は、第二仙台北部中核工業団地内に建設し、ウエハー(基板)の上に集積回路を形成する半導体製造の「前工程」を担う計画だった。2025年着工、27年の稼働開始を予定。総投資額は約9000億円を見込んでいた。
梶村和秀経済商工観光部長は「県内の産業、経済、教育界から期待を寄せられていただけに残念だ。半導体産業の誘致、集積に、一層の努力を重ねる」と述べた。