宮城・南三陸の伝承施設で新映像プログラム始まる 町民9人の証言収録 復興への歩みを生きる力に

南三陸町の東日本大震災伝承施設「南三陸311メモリアル」で今月から、新たな映像プログラム「いのちを想(おも)う」が上映されている。町で被災した当時の小中学生らのインタビューを通して復興の歩みをたどり、相次ぐ災害などの困難をどう生きるかを考えてもらう内容になっている。

 新プログラムは45分で、町民9人の証言を編集した。小中学生だった3人は父を亡くした経験などを回顧。「母には弱いところを見せまいとした。一人ベッドで泣いた」「父が生きたかった時間を悔いなく生きたい」と率直な思いを話す。

 指定避難所だった高台の福祉施設で津波にのまれた町民や、カキ養殖を復興させてきた漁師たちも当時を振り返る。<大切な人を突然失ったとき、生きる力を与えてくれるものはなんでしょうか>。プログラムでは時折問いが出され、来場者が互いに語り合う。

 2日にシアターで試写会があり、制作した町の関係者ら約20人が視聴した。

 町内の団体職員鈴木清美さん(67)は映像の中で、知的障害を持つ息子を迎えに行った施設で津波にのまれた経験を語る。完成したプログラムを見て「他の町民の話は自分も知らなかった。誰もが暮らしやすい場所を残していきたいと改めて思った」と話した。

 施設を運営する町観光協会の高橋一清さん(63)は「町民が悲しみから立ち上がる姿を見て、生きる力を得てほしい」と期待した。

 既存のプログラム「生死を分けた避難」「そのとき命が守れるか」を含め、上映スケジュールはホームページで確認できる。参加は一般・大学生1000円(入場料200円を含む)など。午前9時~午後5時(火曜定休)。連絡先は南三陸311メモリアル0226(28)9215。

タイトルとURLをコピーしました