宮城・南三陸町の観光客が過去最多の144万人 冬場の閑散期対策が課題

宮城県南三陸町を2018年に訪れた観光客が約144万4000人(速報値)と過去最多を記録した。南三陸さんさん商店街が集客の核として定着し、ハイシーズンとなる夏場の海水浴客の増加も後押しした。一方、冬場の客足は伸び悩み、閑散期の対策が課題になっている。
 南三陸町の観光客数の推移はグラフの通り。18年は前年比1万9000人(1.3%)増で、2年連続で140万人を超えた。東日本大震災前は10年の約108万3000人が最高だったが、震災後は商店街の整備など復興に向けた取り組みが実を結んだ。
 南三陸さんさん商店街は17年3月、志津川地区の中心部に開業し、町を代表する観光スポットになっている。18年は60万人近くが訪れ、夏場やゴールデンウイークは多くの人出があった。
 震災から復旧し、17年に再開した海水浴場「サンオーレそではま」もにぎわいを見せた。18年は好天が続いた影響もあり、前年比3.7倍の約6万6000人が来場し、過去最多を記録した。
 震災後は三陸沿岸道が延伸し、町への交通アクセスの向上が集客に一役買っている。町商工観光課の佐藤宏明課長は「今後もいい流れを維持し、観光客が町内に滞在する時間を増やすことで観光消費額の拡大につなげたい」と話す。
 一方、冬場の観光客は夏場の4割に落ち込み、苦戦が続く。南三陸さんさん商店会の山内大輔会長は「閑散期こそ、お客さんに注目される取り組みを実施しなければならない」と危機感を募らせる。
 町観光協会は秋冬の集客を図るため、11月から来年2月末まで町内の飲食店や宿泊施設で使えるクーポンを掲載した冊子を初めて作成し、販売を始めた。担当者は「冬場の底上げは大きな課題。観光客に町内を周遊してもらい、リピーターの増加につなげたい」と話している。

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