スタンドアップパドルボード(SUP)で速さを競う「第11回全日本SUPレース選手権大会」が19、20日、宮城県名取市閖上地区の名取川河口である。東京電力福島第1原発事故で福島県富岡町から仙台市に避難した白土栄一さん(75)、博子さん(59)夫婦が東北初開催に尽力し、多くの観戦を呼びかける。
SUPはサーフボードに立ち、パドルをこいで進む速さを争う競技。日本SUP協会が主催し、1・5~13キロの距離や男女別のレース14種目に全国から約150人がエントリーする。
「川と海にまたがるコースで異なる環境をどう攻略するかが見どころ。川の堤防が天然の観覧スタンドになる」。大会の実行委員長を務める栄一さんは本番を待ち望む。
2009年にSUPに出会った白土さん夫婦は、原発事故で博子さんの出身地仙台に避難。宮城県内でも普及に努め、20年9月には、にぎわいにほれこんだ閖上地区の商業施設そばにクラブハウス「エス ナトリベース」を開設した。
昨年6月には名取川河口で全日本予選となる東日本大会を初めて開催。クラブ会員も約50人と増え、トップレベルの選手を見てもらおうと大会誘致に動いた。知人から約100万円の運営支援を受けたという。
栄一さんは「名取、閖上をSUPの聖地にしようと活動してきた集大成。お世話になった方への恩返しにしたい」と喜ぶ。博子さんも「名取川や広浦など素晴らしい水辺環境の活用につなげたい」と話す。
19日は午前8時半の開会式に続いて競技開始。観覧無料。台風や強風の場合は中止する。連絡先はサーフサイドスポーツ080(3642)7853。