日本一のアマチュア腹話術師を決める「F-1 腹話術グランプリ2024」の「エンターテイメント部門」で、名取市在住の「カズちゃん」=本名飯倉和子さん(53)=が初優勝した。「驚き過ぎて優勝スピーチもしどろもどろ。まさかという思い」。2回目の挑戦で初回は予選落ち。本人もあっけにとられる快挙を成し遂げた。
コント形式で誘拐ネタを披露
決勝は今月13日に神戸市で開かれ、同部門の予選を通過した8組が4分半の持ち時間で競った。カズちゃんはコント形式で、誘拐犯と自宅に帰りたくない女児のユーモラスな人間模様をコミカルに演じた。
舞台に立つと、審査員を務めた腹話術の第一人者、いっこく堂さんが目に入った。緊張を通り越し「どうにでもなれ」と臨んだ本番の自己採点は「85点」。テンポが少し速くなったが、満足のいく出来だった。
「コミカルな芝居が良く、せりふも聞きやすい」「ストーリーが面白く、立派なドラマを見ているようだった」。審査員から高評価を受けた。
介護福祉士として働きながら技を磨く
カズちゃんが腹話術を始めたのは5年ほど前。地域行事で披露していた母から人形を譲り受け、仙台市の腹話術教室「シャローム・パペット仙台」代表の千葉俊一さん(74)に弟子入りした。
介護福祉士として働く傍ら、月2回の教室に参加。家事の合間に自宅で技を磨いた。「家族が外に出ている時間帯を見計らって練習した。夫には冷たい目で見られるので…」と苦笑いする。
指導した千葉さんは「積極的に学ぶ姿勢が印象的で、優勝は自分事のようにうれしい。もう独り立ちできるね」と太鼓判を押す。
現在は月に1回程度、児童館や高齢者施設に出向いて活動するカズちゃん。「他の演者の技を見て、腹話術は進化していると感じた。新しいエンタメを多くの場で発信し続けたい」と今後を見据える。
出演依頼はカズちゃん090(7937)0874。