宮城・多賀城碑 国宝に正式昇格 観光促進へ改めて期待

宮城県多賀城市市川の国特別史跡「多賀城跡」内に立つ国重要文化財「多賀城碑」が27日、官報に国宝として告示され、正式に国宝に昇格した。県内では23年ぶり7件目の指定。3月に文化審議会の答申を受けて以来、観光客が大幅に増え、関連グッズも続々発売されている。正式指定を受け、市内では改めて喜びをかみしめる市民の姿が見られた。

 「地元で昔から愛されてきた碑。多くの人々の努力が実り、こうして形になったことがうれしい」。深谷晃祐市長は碑の前で記者会見し、「復元中の南門など一帯の整備を含め、さらに魅力を発信できるよう考えていきたい」と述べた。

 多賀城碑は多賀城が神亀元(724)年に創建されたことを示す唯一の史料で、これをよすがに今年の創建1300年を記念する多彩な事業が展開されている。3月の国宝内定後は、創建の節目との二重の喜びで一層注目度が高まった。

 史都多賀城観光ボランティアガイドの会によると、今年4~7月に案内した観光客の数は5984人。前年同期比の倍以上となり、首都圏などからのツアー件数も跳ね上がった。

 三浦秀雄会長は「やりくりが大変になるぐらいの盛況ぶり。案内していても、熱意を持って聴いてくれているのを感じる」と手応えを口にする。

 春以降、碑文をプリントしたTシャツやアクリルスタンド、クリアファイルなどが市民や民間事業者の企画で商品化された。以前から販売されていた拓本も、4月以降は41枚と売り上げが大幅に増えている。

 市観光協会の宮城順会長は「国宝指定によって碑の価値が広く認識された。注目が一過性で終わらないように記念事業などの機会ごとに発信し、親しみやすい国宝となるよう努力していきたい」と話した。

 多賀城碑は762年に藤原朝獦(あさかり)が建立。多賀城と古代東北史を解明し、奈良時代の政治情勢を考える上で歴史的・学術的に重要な金石文として評価され、国の文化審議会が3月15日に国宝指定を答申した。

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