宮城・女川の県道整備、東北電がほぼ全額肩代わり 原発事故時避難路に 最大30億円提供協定

女川町の県道整備事業を巡り、県費のほぼ全額を東北電力が事実上肩代わりする内容の協定を県と東北電が結んでいたことが分かった。女川原発(女川町、石巻市)の重大事故時、住民避難の迅速化に役立つなどとして、東北電が最大で約30億円の協力金を提供すると申し出て、2022年3月に協定を締結した。県によると、県発注の道路工事で民間企業が費用負担するのは異例という。

 県道整備事業は女川牡鹿線の大谷川浜-小積浜間の約1・8キロで、コバルトラインの地下を通るトンネル約0・8キロを含む=地図=。原発から5キロ圏の予防的防護措置区域(PAZ)を通る。

 県道石巻鮎川線と直結し、大谷川浜から小積浜まで車で約3分で到達する。従来のルートより約14分の短縮が期待される。23年度に着工する見通しで、完成時期は未定。

 総事業費は約67億円。うち国の国土強靱(きょうじん)化予算で約37億円(55%)を賄い、県が約30億円(45%)を負担する。県は着工費9400万円を盛り込んだ22年度一般会計補正予算案が今月16日の県議会で可決された。23年度以降、工事の進捗(しんちょく)状況に合わせて東北電から協力金を受け取る。

 東北電の担当者は「県道の早期整備に向け、(費用負担の面で)協力するべきだと考えた」と話し、県道路課は「協力金を有効活用し、早期整備に取り組む」と説明した。

 協定の名称は「牡鹿半島部における防災機能強化に向けた道路整備に関する協定書」。対象範囲は今回整備する区間に限られる。

タイトルとURLをコピーしました