東日本大震災で被災した宮城県女川町は復興事業を本格化させるため、国が示した新しい工事発注方式を採用し、19日に都市再生機構(UR)と協定を結んだ。ゼネコンなどの民間業者に工事に関わる業務を一括発注する方式で、復興業務が増大している被災自治体の職員不足を補い、事業を迅速に進めるのが狙い。新方式を導入したのは女川町が初めて。
通常の公共事業は市町村が工事の調査や設計、施工を別々に発注している。震災復興は防災集団移転促進事業や土地区画整理事業などを同時進行させる必要があり、個別発注では時間がかかることから国土交通省が6月、一括発注方式を提示した。
女川町の場合、URが協定に基づき事業主体を代行し、統括役の民間業者に事業を発注。統括業者が建設会社やコンサルタント会社などに調査や設計、施工を発注する。
統括業者の公募は20日に始め、プロポーザル方式で選定し、9月末に契約を締結。事業の先行地区となる荒立地区の住宅移転先の高台造成や、宮ケ崎・石浜地区の水産加工団地の基盤整備などに着手する。
協定調印式は町内の仮設商店街であり、須田善明町長は「町全体をつくり替えなくてはならない。全国でまちづくりを進めてきたURの力を借り、一日も早く復興を実現したい」と述べた。
URの小山潤二震災復興推進役は「過去の経験やノウハウに頼るだけでなく、新たな知恵を結集して女川町の復興をサポートしたい」と語った。