宮城・松島海岸14、15日に通行止め 国道45号 今年も歩行者天国

日本三景松島で知られる宮城県松島町の松島海岸地区を走る国道45号の一部区間を全面通行止めにする交通社会実験が14、15日に行われる。地区への車両流入抑制による景観向上や、車道活用によるにぎわい創出の効果と課題を検証する。初回の昨年に迂回(うかい)路で交通渋滞が発生したり、観光事業者の売り上げが減少したりしたことを踏まえ、渋滞緩和と誘客面で対策を強化する。

渋滞緩和へ迂回路3ルート設定

 社会実験は県や町による協議会が主催する。時間は午前10時~午後3時で、対象区間はJR仙石線松島海岸駅付近-松島観光物産館付近の約700メートル(地図)。このうち北側の約250メートルは車両を通行させず、歩行者天国にする。

 迂回路は3ルートを設定。石巻方面から塩釜・利府方面に抜ける場合は愛宕交差点(松島町)で右折し、利府へは利府街道、塩釜へは県道小牛田松島線経由で浜田交差点(利府町)に促す。松島から町外への移動は二つの町道で利府街道と国道45号に誘導する。

 昨年はJR東北線明神踏切付近と、塩釜・利府両方面の車が合流する愛宕交差点で渋滞が起きた。明神踏切は手前の交差点に誘導員を配して町外からの「通過車両」を通さないようにし、愛宕交差点で大幅な混雑が発生した場合は、県警が渋滞緩和措置を講じる。

 迂回路など主要な交差点に配置する誘導員数は昨年よりも増やした。各ルートは社会実験のサイトで公開しているほか、周辺道路に看板を設置して案内している。周知強化策の一環として、共に昨年より約1カ月早く実施した。

 県道路公社は国道45号と並行する三陸沿岸道の利府中-鳴瀬奥松島インタ-チェンジ区間で、出入りする自動料金収受システム(ETC)搭載車の通行料を3割引きしている。昨年の実験後の調査で道路利用者から寄せられた意見を踏まえ、県渋滞対策連絡協議会で実施を決めた。

イベントスペース設け観光客呼び込む

 昨年は周辺の渋滞を嫌がる観光客が、来訪を敬遠したとみられる。歩行者天国の周辺にある観光施設や飲食店、土産店の売り上げが伸び悩む事態が起きた。

 県や町などは、歩行者天国のうち約100メートルにイベントスペースを設け、より多くの観光客を呼び込む企画を充実させる。

 14日には俳優の本郷奏多(かなた)さん(仙台市出身)を招いたトークショーを開き、県内外のファンの来場を見込む。着物をモチーフにした装飾を道路上に架けるイベントもあり、新型コロナウイルス禍で、昨年はほぼなかったインバウンド(訪日客)を期待する。

 歩行者天国に観光客が集中し、周辺への集客が伸び悩んだ反省も踏まえ、観光客を分散させる対策も講じた。

 町営駐車場などと現地を結ぶシャトルバスは今年も運行させる。昨年は歩行者天国区間までバスが移動し、観光客が区間に集中した。今回は歩行者天国の手前約500メートルにあるJR松島海岸駅を終点とした。観光客が歩く距離を伸ばすことで、周辺の店に立ち寄る機会を増やす。

 JR松島海岸駅近くの「グリーン広場」では、子どもたちが喜ぶような遊具も準備。多賀城市や利府町など近隣3市2町の地場産品を販売したり、観光情報をPRしたりするコーナーも設ける。

 歩行者天国区間の周辺は低速で走行する小型電動車「グリーンスローモビリティー」を新たに周遊させる。4、7人乗りの8台が約5分おきに走る。

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