宮城県村田町菅生地区に8万枚以上の太陽光パネルを設置し、約11キロ離れた仙台市太白区茂庭地区の約150枚と電線でつなぐ「菅生太陽光発電事業(仮称)」が、国の再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)の認定を失っていたことが10日、分かった。事業者のGSSGソーラージャパン(東京)は茂庭地区での計画を断念し、菅生地区のみでFITを活用せずに事業化を目指す考えを示した。
村田側の計画は維持
経済産業省のサイトによると、同事業は4月1日以降のFIT認定が「無効」となった。同省新エネルギー課の担当者は取材に対し、設備が未稼働のままの計画を対象とした制度による「失効」か、法令違反などによる「取り消し」に該当する可能性があると説明。詳細は「個別の企業の話なので説明できない」と述べるにとどめた。
同社は茂庭地区の計画として2014年にFIT認定を受けたが、仙台市条例によって大規模開発ができないことが分かり、菅生地区と電線で結ぶ異例の「飛び地」計画に変更した。認定時の高い売電価格(1キロワット当たり32円)の維持を狙ったものの、修正を迫られた形となった。
GSSGソーラージャパンの担当者は取材に対し、FIT認定を失ったことを認めた。今後は菅生地区側で事業を進める考えを示し、「高い売電価格の恩恵は受けられなくなり残念だが(無効により)自由度が増し、すっきり堂々と計画を進められる」と話した。
茂庭地区の住民有志でつくる「『おいで』里山の会」の佐藤龍朗会長(71)=太白区=は「無理のある計画だと思っていた。茂庭での説明会はなく曖昧な状況だったので、(撤退に対して)煮え切らない気持ちはある」と話した。
計画に対しては県や仙台市のほか、環境省や経産省も見直しを求める意見書を事業者側に提出していた。