新型コロナウイルス感染症を巡り、宮城県医師会は9日、医療現場が患者の対応で切迫しているとして、「危機的状況」を宣言した。県は同日、医療関係者を交えた対策本部会議を県庁で開き、「感染初期」から、症状に応じて入院の必要性を判断する「移行期」へ深刻化したとの認識で一致。「東京都の3週間前の状況だ」(専門家)として、急激な感染拡大を警戒すべき新局面に入った。
村井嘉浩知事は会議後の記者会見で、県内7カ所にある感染症指定医療機関の計29床が満床になったと明らかにした。今後、入院は重症者を優先し、無症状を含む軽症者は自宅や県が借り上げる宿泊施設で療養してもらう方針を示した。
村井知事は「(移行期に入るのは)5月の連休明けと思っていたが、予想以上に早い。この2、3週間は我慢してほしい」と強調。週末を中心に不要不急の外出を控えるよう県民に改めて呼び掛けた。
会見には佐藤和宏県医師会長、冨永悌二東北大病院長、賀来満夫東北医科薬科大特任教授が同席した。
佐藤氏は感染を疑う相談から検査まで円滑に進んでいない現状を問題視し、「患者も病院も苦慮している」と言及。感染症対策が専門の賀来氏は「人との接触を避けるといった予防策を徹底してほしい」と危機意識の継続を訴えた。
県内の感染者は9日時点で36人。3月29日以降、12日連続で確認された。仙台市青葉区の英国風パブではクラスター(感染者の集団)が発生。感染経路が不明のケースも増えている。