2023年12月末時点の宮城県内在留外国人のうち、インドネシア国籍者が前年比でほぼ5割増え、在留者の多い主要5カ国で突出した伸び率だったことが分かった。出入国在留管理庁が24年7月に公開した統計を基に、県がまとめた。人手不足を背景に県が進めるインドネシア人材の受け入れ促進施策が奏功したとみられる。
県によると、県内の23年末の在留外国人の数は円グラフの通り。インドネシア国籍者は1958人で、中国、ベトナム、韓国・朝鮮、ネパールに続き5番目に多かった。
在留人数の多い5カ国の伸び率は棒グラフの通り。インドネシアは前年より627人増えて47%増となった。ほかの4カ国の伸び率は10%以下で、インドネシア国籍者の急伸ぶりが浮き彫りとなった。
県は23年7月、インドネシア政府と人材受け入れの促進に向け覚書を締結。同時に首都ジャカルタに学生約500人を集め、県内の産業や文化などを紹介するフェアを開いた。オランダとの独立戦争に残留日本兵が協力した経緯などから親日的な国民性も影響し、宮城行きを選ぶインドネシア人が増えたと考えられる。
県は今月6日、首都ジャカルタで初の大規模就職説明会を開催。インドネシア政府の後押しもあり、想定の2・4倍の約1200人の学生らが詰めかけた。
県国際政策課の高橋征史課長は「将来的に県内の生産年齢人口の先細りが想定され、インドネシア人材に頼らざるを得ない時代が必ず来る。せっかくできたパイプを太くし、一人でも多く宮城に呼び込みたい」と語り、来県後の支援策拡充も視野に入れる。
高所得の夢、日本に憧れ 宮城県の現地就職説明会に同行取材
世界4位の人口約2億7000万人(2020年時点)を誇るインドネシア。6日に現地であった宮城県内企業・団体の就職説明会を取材すると、会場に大勢の学生ら求職者が詰めかけ、日本での就労に対する熱意の高さがうかがえた。背景には所得水準の低さや親日感情の高さがあった。(せんだい情報部・桜田賢一)
首都ジャカルタ周辺はバイクや車で常に渋滞し、観光地なども市民でごった返す。どこも青年や子どもの姿が多く見られ、4人に1人が若者(16~30歳)という同国発表の統計を裏付ける。
成長著しい国だが、経済格差は大きそうだ。街を歩くと、4人で1台のバイクに乗って出かける家族に何度も出くわした。現地の高卒の最低賃金は月約5万円。少なくとも3倍超が得られる日本企業は魅力的で、就職が決まった若者が帰省しただけで大勢の子どもが集まり、「快挙」を喜ぶ姿があった。
国民の間では第2次世界大戦後、残留日本兵がオランダとの独立戦争に殉じた史実が語り継がれる。近年はアニメ人気も加わり、国民の多くが親日という。
就職説明会を運営した東洋ワークグループ(仙台市)の現地法人の加来文子取締役は「日本で働き、戻った若者が家や車を買うのを見て、さらに多くの子が日本を夢見る」と語る。