東日本大震災の教訓や被害の大きさを後世に伝えようと、宮城大事業構想学部の三橋勇教授や学生らが、被災した宮城県沿岸部の15市町に石碑を建てるプロジェクトに取り組んでいる。津波が達したことを記録するために「波来(はらい)の地」と刻む。震災発生日の3月11日にちなみ、311カ所への建立を目指しており、メンバーは企業や個人に資金などでの支援を呼び掛けている。
設置するのは15センチ四方、高さ1メートルの石柱。「波来の地」との名称について、三橋教授は「津波が来た場所という意味に加えて、災いをはらい、復興支援に懸命に取り組む人たちに敬意を払い、津波災害に対して永久に注意を払い続けるという三つの願いを込めた」と説明する。
浸水区域周辺の道路脇や民有地に建てる方針で、311カ所の具体的な場所は、各市町や土地所有者と調整する。石碑1基の費用は5万円で全国の企業や各種団体、個人に購入してもらう考え。石碑の裏面には購入者の名前を記す。設置作業は宮城大と、三橋教授が講義をしている石巻専修大の学生ら80人が担う。地元の子どもたちにも参加を呼び掛ける。
三橋教授は「被災地の復興も急務だが、多くの犠牲者が出た大震災の記憶を風化させず、残していくことも大切。石碑を将来への警鐘、防災意識を高めるシンボルにしたい」と話している。
購入などの連絡先は東日本大震災石碑プロジェクト委員会の樋口みさきさん090(7078)0400、または赤間遼さん090(5839)5607。