宮城学院女子大(仙台市青葉区)の構内で2020年に見つかったサンショウウオが新種だったことが判明した。歯列やDNAが決め手となった。都市部に残る自然林の片隅で生息していたことに専門家らは驚く。南東北に分布していることも分かり、主な生息地の宮城県と山形県にちなみ「センザンサンショウウオ」と名付けられた。
「センザンサンショウウオ」と命名
発見したのは宮城学院女子大の藤原愛弓・元助教(農学博士)。20年2月、青葉区桜ケ丘の大学構内の自然林で成体3匹と多数の卵嚢(らんのう)を見つけた。当初、準絶滅危惧種の「トウホクサンショウウオ」が大学構内に生息していたとして同年6月に論文を発表した。
その後、他大の研究者から「新種かもしれない」との連絡を受けて調査を開始。研究機関と連携してサンプル集めや分析を進めた。
見た目は変わらないが、歯の並びの幅と長さの比率がトウホクサンショウウオと異なり、DNAも他とは違っていた。23年11月に動物学の海外論文誌「アメリカン・ジャーナル・オブ・ズーロジー」に新種として掲載された。
「新種を見つけるのは、なかなかあることではなく驚いた」と藤原さん。「日本在来種みつばちの会」(岩手県)の理事として環境教育にも携わっており、「身近な自然に目を向けると新しい発見があると若者に伝えたい」と語る。
同大は、構内でセンザンサンショウウオが繁殖していると考えられる一帯の樹木を伐採しないなど生息域の保全を進める。研究をサポートした田中一裕教授(農学)は「まさかの新種。希少な生物が暮らせる環境を守り続けたい」と話す。