宮城水産特区認定 石巻・桃浦カキ会社9月にも漁業権

 復興庁は23日、沿岸漁業権を民間企業に開放するため宮城県が申請していた水産業復興特区の推進計画を認定した。石巻市桃浦地区の養殖漁業者と水産卸の仙台水産(仙台市)が出資する「桃浦かき生産者合同会社」に適用され、9月に漁業権免許が付与される予定。特区制度の下で民間活力を生かし、東日本大震災の被災地の漁業を復興する試みが初めて実現する。
 宮城復興局の担当者が同日、宮城県庁を訪れ、山田義輝農林水産部長に認定書を交付した。
 復興局は県が10日に提出した計画を約2週間審査した。(1)地区養殖業者だけでは再開が難しい(2)地元漁業者のなりわい維持に効果が見込める(3)周辺漁業者やカキ養殖以外の水面利用に支障がない-の要件を満たすことを確認。合同会社への漁業権付与は生産力向上、雇用創出、経営基盤確立に効果があると判断した。
 村井嘉浩知事は県庁で記者会見し「桃浦地区の復興に向けスタートラインに立った。漁業権が与えられたら、合同会社には果敢な取り組みをしてもらいたい。滅びそうだった浜をよみがえらせてほしい」と述べた。
 水産特区は、漁協に優先的に与えられていた漁業権を、地元漁業者の7割以上を含む法人または地元漁業者7人以上で構成する法人に与える制度。村井知事が11年5月、政府の復興構想会議で創設を提案。同年12月に成立した復興特区法に盛り込まれた。
 特区導入に一貫して反対してきた県漁協の菊地伸悦会長は23日、石巻市で記者会見し「激しい憤りを感じる。特区導入は浜を分断、混乱させ、復興の妨げになる。制度は不要であり廃止を求める」と話した。
 県は今後、漁業権の免許が一斉更新される9月以降の漁場計画(漁場区割り)を5月末までに策定。6月に免許申請を受け付け始め、8月末までに漁業権を付与する事業者を決める。

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