宮城沖M7.9の確率20% 30年以内、「ほぼ0%」から上昇 地震調査委予測

政府の地震調査委員会は26日、青森県東方沖-房総沖の日本海溝沿いの海域で、今後30年間にマグニチュード(M)7~8の大地震が起きる可能性が高いとする予測を公表した。2011年3月の東日本大震災で発生した超巨大地震(M9)を受けた同年11月の長期評価を改定。M7.9程度の巨大地震の発生確率は、宮城県沖全域が11年版の「ほぼ0%」から「20%程度」に上昇した。

 委員長の平田直東大教授は「M7クラスの地震確率はどの海域でも非常に高い。浅い海域で起きた地震は津波が発生する。引き続き防災対策に力を注いでほしい」と警戒を呼び掛けた。
 予測は、東日本大震災と同じ場所でM9の超巨大地震が起きる確率を「ほぼ0%」とした。M7.9程度の巨大地震は宮城県沖全域が「20%程度」、青森県東方沖および岩手県沖北部は11年版と同じ「5~30%」だった。
 巨大地震と比べ規模が小さいM7~7.5は、青森県東方沖および岩手県沖北部が11年版の「90%程度」から「90%程度以上」、福島県沖は「10%程度」から「50%程度」にそれぞれ引き上げた。
 茨城県沖は「90%程度以上」を「80%程度」とした。11年版で対象外だった岩手県沖南部は「30%程度」、宮城県沖全域は「90%程度」と予測した。
 「宮城県沖地震」と呼ばれる陸に近い海域でM7.4前後の地震が起きる確率は、11年版の「不明」を「50%程度」に変更。05年8月16日に宮城県沖で発生した地震と震災の地震が、震源域に与えた影響を検討して算出した。
 海溝近くで断層がゆっくりとずれ、陸での揺れは小さくても大津波が襲う津波地震(M8.6~9)は30%程度で変わらなかった。
 地震調査委は26%以上を確率が「高い」、3~26%未満を「やや高い」と分類しており、今回は大半が「高い」との予測になった。
 調査委によると、震災後の震源域周辺は、「余効すべり」と呼ばれるゆっくりした地殻変動が続く領域と陸側と海側のプレート(岩板)が強くくっつく領域が隣り合っている。二つの領域の境界付近にひずみが蓄積し、地震が起きやすくなったと考えられ、各海域の実際の発生確率はさらに高い可能性がある。

[地震の長期評価]プレート境界の海溝や、活断層などで繰り返し起きると考えられる地震の規模や切迫度に関する予測。政府の地震調査委員会がまとめる。切迫度は「30年以内の発生確率」として規模や海域ごとに示すことが多い。過去の地震が根拠だが、不十分な情報しかないことも多く、確率の値には幅を持たせる。

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