宮城沿岸、コウナゴ漁獲ゼロで今季終了へ「簡単に回復見込めぬ」関係者諦めムード

宮城県沿岸のコウナゴ漁を巡り、県小型漁船漁業部会の委員会は、28日で今季の漁を終了すると決めた。三陸沿岸の春漁を代表するコウナゴ漁は近年記録的な不漁が続き、今季もここまで漁獲ゼロ。水揚げなしは2021年以来2年ぶりで、漁業関係者には「今後も簡単には回復が見込めない」と諦めムードが広がる。

親潮南下せず 餌不足の可能性

 漁は今月3日に解禁され、延べ約20隻の漁船が仙台湾や福島県境沖などで操業した。海にコウナゴの魚影はなく、例年の終漁日より3週間早く切り上げることにした。

 漁の中心となる石巻魚市場(石巻市)の水揚げ量は近年、ピークの08年に4887トンあり、数千トンで推移。その後は不漁となり、20、21年と2年連続でゼロ。昨季は35トンにとどまった。

 県水産技術総合センター(同)は、不漁の原因として暖流の黒潮が漁場に流れ込んでいる点を指摘。特に今季は寒流の親潮が南下せず、4月の仙台湾周辺の水温は平年より2・5度高くなった。

 コウナゴの餌となる動物プランクトンの量は親潮より黒潮の方が少なく、餌が不足している可能性がある。担当者は「親潮が南下してこないと、不漁傾向の回復は期待できない」と分析する。

 漁業者にとっては不漁と原油価格高騰の二重苦となる。委員会の安藤順一委員長(45)は「船の燃料代がかさむため、今年も厳しいと諦めて出漁しなかった」と肩を落とす。

 石巻魚市場の佐々木茂樹社長は「漁の不振は漁業者だけでなく、加工や冷凍、運送といった関係業者などに大きく影響する。そう簡単に資源の回復は見込めないだろう」と話している。

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