宮城沿岸のエゾアワビ枯渇の恐れ 稚貝9割減、親貝も減

 東日本大震災による大津波で、宮城県沿岸のエゾアワビの稚貝が90%以上減ったことが9日、独立行政法人水産総合研究センター(横浜市)などの調査で分かった。10月にかけて産卵期を迎える親貝の減少も著しく、同センターは「これまでと同じ漁獲量では、資源が枯渇する可能性が高い」と警鐘を鳴らしている。
 調査は6月7~29日に行い、2月9~17日時点と比較した。
 宮城県石巻市泊浜で1時間当たりに発見された稚貝は2.8個で、2月時点より90.2%減った。2月時点で10.3個が見つかった気仙沼市の岩井崎では、全く見つからなかった。
 親貝も泊浜で1平方メートル当たり1.3個と48%減少。岩井崎でも31%少ない1.8個だった。
 センター東北区水産研究所の桑田博資源生産部長は「アワビは種苗放流である程度、資源を維持できるが、種苗生産施設も津波で壊れて再開の見通しが立たない」と強調。「稚貝が少ないのだから親貝を大切にしないと、来年の稚貝もいなくなる」と懸念する。
 同センターは宮城県や東京大と共同で、2008年から泊浜と岩井崎のアワビなどの資源状況を定点調査していた。両地点以外でも今後、津波の影響を調べることを検討している。

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