宮城漁船支援、県予算290億円執行できず

東日本大震災で大規模被災した水産業の復興に向け、宮城県が5月と8月の補正予算に計上した小型漁船の取得事業費計約290億円が執行されていないことが5日、分かった。同日の県議会予算特別委員会の産業経済分科会で県が説明した。
 この事業は、被災した漁業者が使用する小型漁船の購入費用を国と県、漁業団体が3分の1ずつ負担する内容。未執行となっているのは、事業の枠組みづくりに時間がかかり、宮城県漁協が補助金の受け皿として設立する新漁協の発足が11月にずれ込んだため。
 購入の第1弾となる123隻は既に県内に搬入され、設備を取り付ける「艤装(ぎそう)」の作業中。1隻ずつ仕様が異なり、人手不足で難航しているが、10月中に漁業者に納入される見込み。
 漁業者へ早期に船が渡るよう、県漁協は現在の組織のまま、123隻をいったん取得。新漁協は設立後、県の補助金を受けて船を購入する。新漁協は県内3カ所に設置され、購入した船を漁業者にリースする。
 県は当初、県水産公社に漁船を保有させる計画だったがリース料金体系の煩雑さなどから見送った。県漁協は信用事業を抱えており、漁船を資産として保有すると自己資本比率が低下する恐れがあるため新漁協を設立して対応することとした。
 この日の分科会で横田有史委員(共産党県議団)は「宮城県の対応はスピード感がない」と批判。県側は「小型漁船の調達は岩手も同じ状況だ」と釈明した。

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