宮城県 がれき処理 協力進まず

 東日本大震災で発生したがれきの処理で、宮城県が再生用木くずの引き受けを他県に打診したところ、放射性物質に汚染されている恐れがあることを理由に断られていたことが分かった。宮城県内では同じ理由で、仮設焼却炉の建設予定地で地元住民の反対運動が続いている。放射能汚染への懸念が、がれき処理を遅らせる構図が鮮明になってきた。
 宮城県によると、木くず受け入れを拒んだ県の担当者は「少しでも放射能汚染されていると、住民の理解を得られない」と説明したという。別の県にも可燃物の焼却や木くず受け入れを要請しているが、現在まで回答を留保されている。
 環境省の推計によると、宮城県のがれき量は約千五百万トンで岩手県の三倍、福島県の七倍。可燃物の半分程度や、埋め立て用不燃物の九割、再利用する木くずの大半の処理を他県に委ねなければ、おおむね三年以内にがれきを処理する目標を達成できない。
 環境省の調査では、五月中旬段階で東京など四十一都道府県に計約四百六十万トンの受け入れ能力があることが判明したが、環境省の仲介で実際に受け入れを決めた自治体はない。
 宮城県は独自の交渉を続けているが、がれき処理の受け入れで協力を取り付けたのは山形県だけだ。
 また、宮城県は、県内での処理を進めるため、計七カ所に仮設の焼却炉を設ける方針を決めたが、気仙沼市南部の小泉地区では地権者が「放射能などの有害物質が持ち込まれる」などと反対運動を続ける。
 県は今月中にも、小泉地区で説得を続けるか、他の適地を探すかを判断する。
 環境省は八月、放射性セシウムの濃度が一キロ当たり八〇〇〇ベクレル以下の焼却灰は埋め立て可能とする指針を示した。宮城県は他県の協力が得られれば、放射線量を測定してから搬出する方針だ。 (内田康)

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