宮城県、独自の「医療逼迫宣言」 12月16日まで感染防止呼びかけ 行動制限は求めず

新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、宮城県は30日、新型コロナ感染症対策本部会議を開き、独自の「みやぎ医療ひっ迫危機宣言」を出すことを決めた。医療現場の負担を軽減するため県民や事業者に感染拡大防止への協力を求めつつ、旅行や会食に関わる行動制限は設けず、社会経済活動との両立を目指す。宣言期間は同日から来年1月16日まで。

 政府が定めた4段階の感染レベルに基づき、2番目に深刻な「2」とした。確保病床使用率など2項目の「指標」、保健医療の負荷や社会経済活動の状況に関する9項目の「事象」をそれぞれ検討。医療が逼迫(ひっぱく)するものの、欠勤者の増加で業務継続が困難な事業者が多数発生していない現状を踏まえ、総合的に判断した。

 対策は(1)医療体制の機能維持(2)感染拡大防止(3)業務継続体制の確保-を重視。県民には自己検査や基本的感染対策の徹底とともに、感染リスクの高い場所への外出を控えるよう要請。帰省・旅行や会食に加え、習い事や友人との集まりでの感染拡大にも注意を促す。

 オミクロン株対応ワクチンの接種促進では生後6カ月~4歳の乳幼児、5~11歳の小児への接種も保護者に検討を呼びかける。県は1日、仙台駅前の大規模接種会場を夜間に再開する。

 事業者には在宅勤務による出勤者数の削減、多数の欠勤者を前提とした勤務体制づくりなどを依頼する。

 村井嘉浩知事は「コロナに感染しても入院できない、他の病気でも手術が受けられない状況が間近に迫っている。医療機関に負荷をかけないことが自分や家族の命を守る」と強調した。

 厚生労働省によると、県内の11月22~28日の人口10万当たりの新規感染者数は1023・55。北海道の1075・01に次いで都道府県で2番目に多かった。全国平均は559・42。

 県は当初、政府が新設した「医療ひっ迫防止対策強化宣言」を検討したが、政府と調整した結果、見送った。

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