宮城県は25日、県議会9月定例会で成立した宿泊税の条例の説明会を始めた。宿泊事業者からは税を充てる観光施策や免税対象について不安や疑問が相次ぎ、税を巡って生じた県と事業者の溝の深さをのぞかせた。
「レジ改修費の負担配慮を」「クラブ活動になぜ課税」
初日は松島町と東松島市であり、周辺市町村から各会場に計26人が参加した。
県は徴税義務に違反した場合の罰則を説明。観光施策を官民で議論する「みやぎ観光振興会議」に宿泊事業者部会を設置し、税を活用した観光施策に意見を反映させる方針も示した。
松島会場では町内の旅館関係者がレジ改修などで費用負担が生じる可能性に触れ、「大半の事業者が反対する中で税を強制的に導入した。せめて(費用負担は)配慮するべきだ」と批判した。別の旅館は「税の使い道をチェックできるようにしてほしい」と求めた。
東松島会場ではスポーツ少年団や学生のクラブ活動が課税対象となることに対し、市内の民宿経営者から「教育的に意味がある活動をしているのに違和感がある」との意見が出た。
松島会場に参加したパレス松洲(まつしま)(松島町)の丸山泰弘総支配人は取材に、条例成立前の事業者説明会で徴税義務違反の罰則が説明されなかった点に不満を漏らした。「県はもっと事業者に歩み寄る姿勢を見せてほしい」と訴えた。
県は12月中に県内全域で説明を終える見通しで、同月上旬には仙台市との合同の説明会もある。県総務部の大町久志副部長は「事業者からの声にしっかりと耳を傾け、制度設計に生かしたい」と話した。