宮城県は9日、東日本大震災の復旧・復興を加速させるため、「東日本大震災復興基金」(仮称)を創設する方針を固めた。復興基金の創設は東北の被災3県で初めて。国庫補助の対象にならない事業、県独自の補助率かさ上げなど既存制度の「隙間」を埋める支援事業に財源を充てる。
基金の設置期間は、県震災復興計画が完了する2020年度までの10年間。主な原資は国から配分される特別交付税で、県に寄せられた復旧・復興寄付金も一部充てる。
一定額を積み立てて運用益を事業に利用する従来型の基金ではなく、原資を全て財源に活用する「取り崩し型」基金とする。
県は基金設置条例案、関連費を計上した補正予算案を19日開会の県議会8月臨時会に提出する。第1弾は約160億円を積み立てるが、緊急を要する復旧・復興事業が数多くあり、そのまま全額取り崩して財源に回す。
今回は県水産公社が漁船を取得して被災漁業者にリースする事業や、国の中小企業施設整備に対する補助事業で対象外とされた施設復旧を支援。被災した農業共同利用施設や養殖漁業施設の復旧に充てる国庫補助事業に対し、県独自に補助率のかさ上げも行う。
県は今後、10年間で実施する基金事業の規模を精査する方針だが、国の制度化が進んで「隙間」が埋まる可能性がある。特別交付税の配分見通しにも不透明感があることから、国の動向を注視していく。