アコヤガイを使った真珠の養殖を宮城県沿岸で実現するため、県が本年度一般会計補正予算案に生産地の視察や研究を含む養殖業支援費3000万円を計上する方針を固めたことが4日、分かった。18日開会の県議会9月定例会に補正予算案を提出する方針。海水温上昇に伴いホヤなど沿岸養殖業が打撃を受けており、代替生産品として本格的に真珠養殖の可能性を探る。
県は先進地の三重県に職員を派遣して生産現場を視察する。養殖技術の研究、宮城県沿岸で生産する場合の他魚種への影響調査も行う。
ホヤのほかカキ、ホタテなど既存の養殖も支援。通常より深く低温な水深で試験的に行う養殖に必要な設備費を助成する。養殖業者には漁船漁業との兼業化も促す。
県沿岸では近年、気候変動による海水温上昇に伴い、タチウオや伊勢エビなど南方系魚種の水揚げが増加。一方で今夏、養殖ホヤが壊滅した海域もある。
村井嘉浩知事は6月下旬の定例記者会見で「5~10年後を考え、真珠養殖への挑戦を指示した」と発言。同月の県議会で、県の担当者は「情報収集し、課題を整理する」と説明した。
県は「泳ぐ宝石」と称されるニシキゴイの養殖の研究も進める。海外富裕層に人気が高く新たな産業になると着目。他県の生産地への視察を予定する。