宮城県の空き家の軒数は14万戸と、前回2018年の調査から9500戸増え、過去最多を更新しました。住宅全体に占める割合の空き家率は12.4%と、10戸に1戸以上が空き家ということになります。空き家の問題で新たな課題となっているのが、マンションなどの共同住宅です。戸建てだけではなくマンションでも人や建物が高齢化し、今後の維持管理が問題となっています。
隠れた空き家問題について、仙台市は現状をどのように考えているのでしょうか。
仙台市住宅政策課早川雅人課長「仙台市の空き家のマンションの総数は、国の調査で約25%。戸建て住宅と同様にマンションについても、特に賃貸や売却のような不動産流通市場に供給されていない空き家については、問題意識を仙台市としても持っている」
仙台市によりますと、相続や投資でマンションを取得するケースも多く当面利用目的が無い空き家がどの程度存在しているのか、把握が難しいと言います。
仙台市住宅政策課早川雅人課長「仙台市のマンションですと、30年から40年を超えるマンションが現在増えてきている。適切に維持管理されないまま老朽化が著しく進行した場合、居住環境の悪化や規模が大きいことから第三者への被害、地域の環境悪化を生じさせるなど社会的にも深刻な影響を引き起こす可能性がある」
仙台市によりますと、築40年を超えるマンションの数は20年後には5.4倍に急増するという試算もあり、対策が急がれます。こうしたなか、老朽化したマンションをリノベーションして生まれ変わらせるリノベ物件が注目を集めています。
玄関のドアを開けると、おしゃれでモダンな暖かい日の光が差し込むリビング。料理が楽しくなりそうなシステムキッチン。いずれも築50年を超えるマンションの一室です。中古マンションをリノベーションしたリノベ物件が人気です。
青葉区上杉の不動産会社は、近年そのニーズが高まっていると言います。
N’sCreate.井上直樹さん「年間300弱の相談件数で、前年と同様になっている。住みたいエリアに住む選択肢が増えることがメリット。例えば、築30年経った物件でも駅が近かったり市街地に出やすいメリットは変わらない。金額的にもプラスのメリットがあるので築年数が古くても購入、検討いただきやすい。リノベーションしてお客様に新しい価値を提案するというところではニーズもあるので、(空き家問題の)解決の糸口になるのかなと思う」
青葉区二日町に立つ築43年のマンションは、仙台市地下鉄南北線の勾当台公園駅から徒歩4分です。濱端隼人さん夫婦が住んでいます。
濱端隼人さん「部屋自体は50平方メートル位のワンルームで作っているので、リビングダイニングスペースと寝室とクローゼットという構成。ダイニングスペースは敢えてダイニングテーブルは置かず、料理しながら対面でダイニングのテーブルとしても使えるように。場所と広さ、価格、もちろんリノベできるというポテンシャルを感じたので、この物件を敢えて選んだ」
最近のマンションは、資材費や人手不足による人件費の高騰により価格が上昇しています。濱端さんは、マンションをリノベーション費用も含め約2200万円で購入しました。
このエリアで同じような広さの新築マンションを買うよりも、6割から7割ほどの価格に抑えられました。
濱端隼人さん「金額の話はもちろんありますが、新築マンションの既存の画一的な内装があまり好みではない。帰ることが楽しみになってますし、ほっとする場所ですね」
リノベ物件に注目が集まることに、仙台市も期待を寄せています。マンションの現状と課題を考える検討委員会を4月に設置しました。
仙台市住宅政策課早川雅人課長「空き家を空き家のまま放置しておくのではなくて、賃貸や売却に出して人を住まわせることが重要になってくる。空き家の対策については、流通に乗せるというのが一番重要なポイントで、そのためのリノベーションというのは1つの対策になるかと。行政としては管理状態を適切に把握して、適切に支援をしていくということが重要だと考えている。検討委員会のなかでも、管理状況についての手法や取り組みに内容についても検討していきたい」