宮城県の「貯金」25年度に枯渇の恐れ 中期財政見通し

宮城県は、2022年度当初予算編成に基づき、25年度まで4カ年の財政見通し(一般会計ベース)をまとめた。決算剰余金を加えた場合でも、県の貯金に当たる財政調整基金は25年度に適正水準の約3%まで落ち込み、ほぼ底を突くと試算。新型コロナウイルスの流行長期化などで歳出が膨らんだ場合、財源不足が24年度にも表面化する恐れがあると予測した。

 試算によると、23年度の予算総額は東日本大震災で巨額の復興財源が投入された12年度当初以来、11年ぶりに1兆円を切る。23年度以降の歳入は、県税が一定程度確保される見通しなどを踏まえ、地方交付税が目減りする。歳出は高齢化による社会保障費、国土強靱(きょうじん)化対策関係費がともに伸びるため、不足分を財政調整基金で穴埋めする形が続く。

 県の標準財政規模(約4700億円)の10%が理想とされる財政調整基金の残高は、決算剰余金を考慮したケースで23年度末が180億円、24年度末が97億円、25年度末が12億円と漸減。決算剰余金を除いた場合では、23年度末が100億円、24年度末がマイナス23億円、25年度末が同148億円と見込んだ。

 県債残高は22年度からの4カ年、1兆4000億円台後半で推移。臨時財政対策債は5900億円台から5600億円台に減ると想定した。

 大森克之総務部長は「災害関連の大規模復旧費などを国に求めるとともに、優先度を付けて事業に取り組んでいく」と説明した。

 試算は、22年度当初予算編成時の経済情勢などを前提に算出した。経済成長率は、今年1月の内閣府試算を基に1・7~2・2%と設定した。

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