宮城県内の感染者ゼロ1ヵ月 外出自粛、休業要請奏功か

宮城県内で新型コロナウイルスの感染者が新たに確認されなくなって、29日で1カ月となる。ウイルスの潜伏期間は最大で約14日とされる。「2週間前の県民行動の通信簿」と考えた場合、外出自粛の呼び掛けや事業者への休業要請が功を奏したとデータ上では読み取れる。
 県内の新規感染者と入院・療養者の推移はグラフの通り。感染者は累計で88人。新規感染者は仙台市内で初のクラスター(感染者集団)が発生した3月末から増加し、最多は4月16日の13人だった。
 入院・療養者は18日にピークの70人(うち41人が入院)に達した。その後減少の一途をたどり、5月27日には全ての患者が退院や療養を終えた。入院・療養期間の平均は18日。
 感染が広がり始めた4月3日、県と仙台市は不要不急の外出を控えるよう共同で初めて訴えた。政府は16日、新型コロナ特別措置法に基づく緊急事態宣言を7都府県から全国に拡大。県は外出自粛に加え、遊興施設や飲食店などに25日~5月6日の休業・時短営業を要請した。
 県と仙台市の外出自粛要請から2週間後の4月17日以降、県内の新規感染者はおおむね小康状態を保ち、29日から新規感染者ゼロが続いている。
 県疾病・感染症対策室の担当者は「せきエチケットなど自主的な感染予防や外出自粛要請に県民が応じてくれた結果」と振り返り、「他地域では集団感染が確認されており、感染拡大への懸念は続いている」と警戒を緩めない。
 県医師会の佐藤和宏会長は「感染の第2波、第3波がインフルエンザの流行期と重なる事態を危惧している。落ち着いた今こそ、医療体制の強化を図る期間に充てたい」と強調した。

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