宮城県内で2017年に起きた自転車事故は1013件で、08年の1829件から10年でほぼ半減した一方、事故の約7割が、人口が多く自転車利用の割合も高い仙台市内で発生していることが分かった。県警は自転車の安全利用を促す条例の制定を目指す市と共に、注意を呼び掛けている。
「歩道は走行できません」「右側を通る時は自転車を押して」
県が自転車交通安全の日に指定する今月15日の朝と夕、県警は自転車通行が多い市内6カ所で交通指導を実施した。自転車運転中のスマートフォン操作やイヤホン着用などの違反者計234人に、道交法の違反項目が記された警告の「レッドカード」を手渡した。
県内の自転車事故と死者の推移(08~17年)はグラフの通り。県警の分析では事故の大半が通勤通学時間帯で、中高生と高齢者に多いという。このうち、17年に仙台市内で発生した事故は679件で、全体の67.0%を占める。
自転車レーン増設などの整備や、県警が委嘱したスタッフによる横断歩道での走行ルール指導が実り、事故は減少傾向だが、県内では今年も21日現在で310件の事故が発生している。若林区の市道では3月、80代男性がトラックにはねられ死亡する事故が起きた。
こうした現状を受け、仙台市は自転車損害賠償保険への加入やヘルメット着用を義務付ける自転車安全利用の条例案を市議会9月定例会に提出する方針。制定されれば、東北で盛岡市に次ぎ2例目となる。自転車走行のルールを明確に発信するのが狙いだ。
市は本年度、宮城野区大梶(約1.0キロ)と若林区新寺1、2丁目(約0.1キロ)の市道で、歩道の車道側をえんじ色にカラー舗装する取り組みも実施する。自転車の走路を示し、歩行者との接触を防ぐ。
市自転車交通安全課の千葉正明課長は「マナーアップと交通環境の整備、両面から自転車の安全性を高めていきたい」と話す。